せせらぎの湯(貸切家族湯)

国道387号に面した施設の受付で貸切湯をお願いすると、木製の札を渡される。長形3号ほどの大きさだ。「万年」と書かれた緑色の札を下げて向かう貸切湯の浴舎は別棟で、坂を登っていく。


札に書かれた浴室に入ると、4畳半ほどの脱衣所。ファンヒーターが目を引く。この辺りは冷えるようだ。すぐさまスイッチを入れる。浴室は戸外と連続している。あったと思われるアルミサッシの引き戸は外され、網が下げられている。杉木立から冬の風がやってきそうだ。


室内側には淵に石を配し内側にタイルを張った浴槽、戸外に木で淵が飾られた浴槽が配置される。手前の浴槽にはライオン顔の湯口から湯が注がれ、戸外の浴槽へは手前の浴槽から溢れた湯が流れ込む仕掛けのようだ。

黒っぽく変色した浴槽のタイルなどから個性的な温泉かと思いきや以外にも素直、刺激もなく肌を包む。臭いも感じ取れない。加水調整された湯温は2月の空気に心地よさを提供してくれる。


戸外は左右が塀で仕切られている。戸外の浴槽の先にある流れは水で、浴槽ではないようだ。岩で組まれたその先は杉木立につながる。


せせらぎの湯(貸切湯)
玖珠郡九重町菅原1440
0973(78)8816 HP
単純温泉
53.1℃
シャンプー類あり ドライヤーなし
内湯 半露天
貸切湯 1500円~/60分(4名まで)3時間までの料金体系あり
貸切湯は男性のみのグループ利用不可。
8:00~21:00
大浴場あり 500円 シャンプー類あり
2024/2/12

琴平温泉(家族湯)

日田市琴平町。国道212号琴平交差点から折れ、案内に従い車を進める。道は川に沿う。道は細い。国道交差点から数分、木立が茂る風景は一瞬にして非日常の憩へ導く。平日の昼下がり、車も人影も僅かだ。



和造りの受付棟で家族湯をお願いする。16室用意される浴室は3棟に分かれる。料金は60分2200円と2500円。平日17時までの利用なら20分のおまけがつく。

部屋を決めると案内事項が書かれた紙、鍵、そしてコインが入った袋を渡される。浴舎棟は木立に囲まれ、涼しげな風情に包まれている。黒を基調とした浴舎は落ち着いた印象を与え、壁の塗りや扉の意匠などに設置者の拘りが窺える。選んだ部屋に入る。脱衣所はちょっとした共同浴場のそれよりも広い。竹で編んだと思われる脱衣籠が4つ用意されている。




脱衣所の壁にはコイン投入口が設けられている。受付でもらったコインを入れると、湯が勢いよく注がれはじめた。浴槽を満たそうとする湯の音が木立に囲まれ暗い浴室に溢れる。

浴槽の淵まで湯が満ちると湯は勢いを落とし、わずかな湯量を注ぎ続ける。湯は熱い。我慢できるはずもない。加水は必須だ。



適温になり身を沈める。肌にヌルツル感を覚える。湯口の湯をすくい臭いや味を求めるが至って素直、透明で無臭無味だ。塩味さえ感じ取れなかった。




浴槽は切り石を組み上げたようで、厚さは25㎝ほど。浴槽内部には利便のため石が置かれる。手すりなど移動を助ける設備はない。



窓を開けると川の流れが木立の間から見える。高瀬川だ。木立の間を抜けた風がときより浴室内に迷い込む。心地よい。

敷地内には露天の大浴場や食事処、隣接して宿も整う。


琴平温泉(家族湯)
日田市琴平町1571-1
0973(23)7726 HP
ナトリウム-炭酸水素塩・塩化物温泉
60.6℃
シャンプー類あり ドライヤーあり
エアコンあり 扇風機あり
コインタイマー式
内湯(16室)
2200円~2500円/60分(平日17:00までは80分)
10:00~25:00(土日祝/9:00~25:00)
大浴場(露天):600円
12:00~22:00(土日祝/11:00~22:00)
2019/6/19


塚原温泉 火口乃泉(家族湯)

鶴見岳の北側山麓、酸性泉の温泉が湧く。県道616号をそれ、案内板に従い進むと数分で平屋の建物が現れる。左手には公衆浴場の浴舎、右手には受付、その間を進むと家族湯の棟が建つ。



 受付で家族湯をお願いする。渡された鍵は1番、最も手前にある家族湯だ。扉を開けると木製の長椅子の上に籠が二つ、他には何もない。至ってシンプルだ。

浴室に入ると陽光が湯面に反射している。浴槽を満たす湯は無色透明だ。エンジ色のパイプから注がれた湯は浴槽を満たした後、浴槽内に設けられた排水用パイプから去っていく。湯が唇に触れると強烈な酸味に襲われる。PH値は1.4だから当然だろう。絞り込まれた湯口から注がれる湯のみで湯温調整を試みるが、源泉温度が高いため加水する。




身を沈める。ピリピリと肌が刺激される危惧を抱いていたが特段の刺激はなかった。窓からは鶴見岳の山肌が見える。窓は透明で塀などは設置されていないため、ありのままの視界が広がる。浴場で石鹸類は使えない。湯に身を沈め、湯の恵みを感じて過ごす。



しばらくして蜂の音が聞こえてきた。喚起口から黒い蜂が出入りしていた。少し怖い。30分ほどで浴場を後にした。


塚原温泉 火口乃泉(家族湯)
由布市湯布院町塚原1235
0977(85)4101 HP
酸性・含鉄(Ⅱ、Ⅲ)・アルミニウム-カルシウム-硫酸塩泉
63.4℃
家族湯(内湯)60分/2000円
家族湯(離れ)60分/2500円
大浴場:500円
露天風呂:600円
9:00~19:00(6月~8月)
9:00~18:00(9月~5月)
2019/4/4

天ヶ瀬温泉 旅館丸山荘

天ヶ瀬温泉街の通りをJR天ヶ瀬駅から東へブラブラ歩くこと10分、町の賑わいが寂しさに変化するあたりの左手に白いRC3階建ての宿が見えてくる。
玄関前の階段を上がりフロントのソファーで佇む初老の女性に入浴の希望を伝える。掃除を終えたばかりで湯はまだ溜まっていないとの言葉に笑顔を添えながら浴場へ案内していただいた。浴場は玄関向いにあった。




シンプルな造りの脱衣所には100円コインロッカーと木製脱衣棚が備わる。タオルが数枚干されていた。共同浴場と勘違いする情景だ。
扉を開けると浴場が顔を出す。言葉のとおり、浴槽はまだ湯が注がれている途中だった。コンクリートとタイル、そして岩が組み合わされた深めの浴槽で、浴場の半分以上を占めている。玖珠川に面した窓は全開されている。鼻孔にはほのかな硫黄臭が届く。湯口から注がれる湯を洗面器ですくい冷ましながら口に含んでみる。弱い玉子味がする。浴槽を湯が満たした状態での色は分からないが、透明だ。浴感は優しく尖った印象はない。




浴場に洗い場はない。水栓はあるが水のみが供給されている。体を洗う際は思い思い浴槽の周りに陣取り、湯をすくい上げることになる。
浴場からの風景は最高だ。玖珠川が目の前を流れ、向いにある発電所や民家、山々を眺めながら湯浴みに興じることができる。浴場を独り占めし、好き勝手に過ごす時間は至福だ。




この日湯巡りした3軒の宿、なんでもパスポートというお得なチケットを利用しました。駅の側にある観光案内所で求めることができます。1000円で販売され、登録の宿を3か所湯巡りすることができるのです。似たようなチケットは熊本県菊池温泉でも。


天ヶ瀬温泉 旅館丸山荘
日田市天瀬町赤岩7-14
0973(57)2326
単純硫黄泉
83℃
シャンプー類あり ドライヤーなし
内湯
400円
14:00~19:00
2019/1/3


天ヶ瀬温泉 旅館福屋

天ヶ瀬温泉街を貫く通りを玖珠方面へ進み、途中から右に折れ国道210号バイパスへ抜ける急な坂道を上って行く。JR久大線のガードを抜け左に折れながらなおも上ると坂の途中、右手に古い宿がある。
立ち寄り湯営業中の提灯が下がる。玄関に入り声をかける。しばらく間をおいて初老の男性が顔を出された。立ち寄り湯をお願いする。




帳場の前を過ぎ、浴場へ案内していただく。浴場には男湯、女湯、露天、貸切湯が揃う。廊下の壁に手書きの配置図が掲げられていた。

男湯に入る。脱衣所は左右に細長い。脱衣棚にプラ籠が置かれている。いたって質素だ。浴場は鉄骨がむき出しで水色に塗られていた。玖珠川を望む窓は全面がラス戸で、浴場は鉄骨造りのようだ。



浴槽は窓に沿い左右いっぱいに配置されている。浴槽内部は黒く変色しているようだが、湯そのものは透明。手にすくう。臭いを感じとれない。口に含む。特別な味覚は残らない。身を沈める。程よい湯温だ。肌を刺激するでもなく優しい浴感だ。




一旦服を着て露天風呂へ向かう。玖珠川を見下ろすロケーションだ。右岸の水力発電所建屋も望む。浴槽は岩で組まれ、内湯と同じ浴感の湯が注がれているようだ。




傾斜地に立つ宿において、露天風呂や貸切湯を設けるのは至難の業であろう。宿の工夫に敬意を感じる。露天は男女の区分がない。混浴なのか、時間によって男女を分けているのか、悪しからず未確認だ。




天ヶ瀬温泉 旅館福屋
日田市天瀬町赤岩6-1
0973(57)2205
含芒硝食塩硫化水素泉
70℃
シャンプー類あり ドライヤーなし
内湯 露天 貸切湯
500円
※貸切湯の料金未確認
11:00~17:00(土日11:00~16:00)
2019/1/3


天ケ瀬温泉 旅館日田屋

玖珠川と並行して続く、乗用車がかろうじて離合できるほどの道が天ヶ瀬温泉街の中心通りだ。道に面し暖簾を揺らす宿が日田屋で、空間を巧みに活かし無料の足湯も提供されている。




午後1時過ぎ、立ち寄り湯をお願いする。7割ほどの湯溜りとのことだが入浴させていただいた。
フロントの階段を上がりすぐさま下る。案内された左手の扉(岩風呂)を開けると脱衣所だ。重ねられた白いコンテナボックスが脱衣籠のようだ。家庭用の洗面台は2基、側にはドライヤーが用意されている。



扉を開けると浴室だ。湯気が満ちている。窓の一つが解放されているが湯気は次々に発生し浴槽を包み込む。空気が冷えているうえ、供給される湯温が高いため湯気が次々に発生するのだろう。宿の方からは湯は熱いので加水するようアドバイスを受けた。
源泉が注がれる浴槽に指先を入れてみると、なるほど激熱。加水しなくてはとても入れない。湯口付近にある蛇口を開け加水する。湯は透明だ。湯口の湯をすくい上げ鼻を近づける。これといった臭いを感じない。口に含むも残るような印象はない。熱い以外、万人受けする泉質なのかもしれない。




脱衣所の張り紙によれば加水されるが、循環はしていないらしい。源泉の量は豊富なのだろう。洗い場の蛇口から供給されている湯は白湯の印象だ。シャンプー類も備わる。



日田市観光協会天瀬支部ホームページによると、天ヶ瀬温泉は1300年以上前に開湯されたと云われる。長い歴史を重ねた温泉郷だ。玖珠川の両岸には5つの共同浴場がある。いずれも開放的な露天である。管理はいずれも地元の方々が担われ、組合員以外でも100円で利用できる。利用時間は個別に異なるので事前に調べておくのがベターだ。

複数の宿では立ち寄り湯を受け入れていて、なんでもパスポート(1000円)を購入(JR駅隣の観光案内所)すればお得に湯巡りができる。登録された宿の湯を3か所巡れるのだ。3人で一冊を使用することも可能なので、無駄になりにくい。


天ケ瀬温泉 旅館日田屋
日田市天瀬町桜竹362-1
0973(57)2001
含重曹弱食塩泉
67℃
シャンプー類あり ドライヤーあり
内湯
500円
11:00~17:00(土日/11:00~16:00)
2019/1/3